東京藝術大学 2019年度 月曜日2限目
   教員名:Hermann Gottschewski
   連絡先:gottschewskiアットfusehime.c.u-tokyo.ac.jp
   科目名:西洋音楽演奏史
   テーマ:西洋音楽の演奏解釈史I-録音以前(夏)、西洋音楽の演奏解釈史II−録音時代(冬)

授業の目的
主な内容

各週の講義の内容と資料(順次にアップする)


04月8日

  • ガイダンス・問題提起


  • 04月15日

  • 音楽史の中で見るベートーフェンと「演奏解釈」

  • 授業資料 PDF ワード(docx)
    関連リンク ベートーフェンの4番のピアノソナタの楽譜
          同時代のピアノを使った録音
          ヴェーゲラーとリースの『伝記ノート』
          シンドラーの『ベートーフェンの生涯』
          チェルニーのピアノ教則本作品500第四巻より
          マルクスのベートーフェン伝記より
          マルクスの演奏指導より
          レンツのベートーフェン芸術論より
          ノッテボームの第二ベートーフェニャーナより




    05月13日

    授業資料 (Schindler, ベートーフェンの演奏について、ドイツ語) (日本語、jpg、注意:141.7MB!) (日本語、pdf、注意:25MB)
       註1 日本語のPDFを新たに作成し、5月3日に再びアップしました。今回は問題なく開くことができると思います。
       註2 ドイツ語と日本語を並べて勉強できるために、ドイツ語の資料には日本語訳のページ数、日本語訳にはドイツ語の原文のページ数を追加しました。

    05月20日

    関連ヴィデオ シンドラーの演奏論について(第10番のピアノソナタの第一楽章を中心に)
    関連楽譜   ゴチェフスキがシンダラーの演奏法についてのコメントを普通の演奏記号に変えて記入した楽譜


    05月27日 夏学期のレポートの主題提出(書面で:お名前、お名前の読み、学籍番号、主題、短い説明(二、三行で結構です)。この段階では考慮中の二、三の主題を出しても大丈夫です。)



    06月3日

  • 19世紀のバッハ受容と演奏史 その一:平均律の出版譜から見る19世紀の「素人」のバッハ演奏(第1巻第12番のフーガを事例に)

  • 参考録音 チェルニー時代のピアノで演奏されるバッハ『平均律クラヴィーア曲集』のイメージ(youtube)
    楽譜資料 (様々な楽譜はimslp.orgにありますが、以下はそこから選択・抜粋したもの。)
         バッハの自筆譜 この自筆譜は19世紀に知られていなかった可能性がある。他の18世紀の写本は上記のimslp.orgを参照。
         バッハ協会のエディッション 19世紀のバッハ全集(学術的出版物、この巻は1866年出版)
         いわゆる「チェルニー版」 チェルニー版は1837年(?)に出版されたが、こちらはロイチュによる改訂版(1863出版?)。
          演奏法に関わる記号は初版にほぼ同じだと思われる。
         いわゆる「ブゾーニ版」 ブゾーニ版の初版は1894年。ここ出しているのは1916年(?)の再版。


    06月10日

  • 19世紀のバッハ受容と演奏史 その二:オルガン作品のピアノ編曲から見る19世紀の「ヴィルトゥオーソ」のバッハ演奏

  •      19世紀で「バッハの長男ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのオルガン協奏曲イ短調」と思われた作品
         (実際にはヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲をヨハン・ゼバスティアン・バッハがオルガンのために編曲した作品。
          ただしこの事実は1911年に初めて証明された。)
         ヴィヴァルディのオリジナル(1711年出版) 楽譜(現代版) 推薦録音
         J.S.バッハのオリジナル(ヴァイマル時代作曲) 自筆譜 楽譜(現代版) 1844年の初版 推薦録音
         19世紀のピアノ編曲 楽譜 連弾 (1858) ピアノソロ (Golde, 1865?) 人気のStradal版 二台のピアノ (Stradal) Murdoch版 (1927?)
                   録音 Stradal版による演奏(Alfred Cortot)(ただし一部は自己流に変更) Murdoch版による演奏
                   Stradal版の序文の和訳
                   VivaldiからBachへ、BachからPlatoの連弾版へ(楽譜の比較)
                   Vivaldi, Bachと四つのピアノヴァージョンの変化


    06月17日 夏学期のレポートの進行状況提出(400字程度、この段階では一つの主題に絞ってください。研究方法にも触れてください。)



    06月24日



    07月1日

  • 授業で使った録音や楽譜は東大の『比較文化論』の6月19日の資料を参考にしてください。


  • 07月8日 夏学期のレポートの口述発表(3分程度、そこでは文献と方法に触れて下さい。)

    夏学期のレポートを冬学期の最初の授業で提出して下さい。分量は文字テキストのみでA4(フォントは12ポイント)印刷で3〜4枚程度で。楽譜等を必要に応じて付けて下さい。


    10月7日

  • 冬学期の問題提起

  •      授業資料(PDF)   同(docx)

    10月21日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(1)

  •      授業資料(PDF)   同(docx)

    10月28日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(2):大ピアニストたちの歴史的な演奏記録の資料的価値と信憑性

  •      Carl Reinecke (1824-1910)のシューマン演奏(1905年1月記録、youtube)楽譜
               同上、別の再生
         比較のため Ignaz Paderewski (1860-1941, 1914のレコード)
               Svjatoslav Richter (1915-1997, 1956 Studio)
               Arthur Rubinstein (1887-1982, 1961 Live)
               Martha Argerich (*1941, 1978/79 Live)
               Seong-Jin Cho (*1994, 2018 Live)
               Wilhelm Backhaus(1884-1969, 1969 Live, 最後の演奏会の最後のアンコールとして)

    10月31日 休講(1月27日補講)


    11月11日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(3):明らかに「手入れ」が見られるロール

  •      1 ペダルの再生に様々な問題があったので、ペダリングが常に編集されたと考えられる(明らかな実例を前回の授業で紹介した)
         2 同様の理由により、バス音が確実にペダルに残るためにその鍵が指で保てるより長く保たれている場合はある
         3 音を出さずに押された鍵、ソステヌートペダルの効果を出す措置
           ・ Josef Hofmann演奏のWagner-Brassin(「ワルキューレ」よりFeuerzauber)の場合  (楽譜
             ワーグナーの原曲
             Josef HofmannがWelte-Mignonで記録した演奏(1905年9月)
             比較のため:同演奏者同曲の円盤録音(1923年)(ただしこの録音ではソステヌートペダルなどを使っていない)
         4 鍵盤の上半分内、または下半分内に、同時に弾かれた音の強弱の差を出すダメの「非同期化」
         5 音の追加(古典曲の演奏では稀だが、いくつかのケースが存在する)
         

    11月18日

         ピアノロール/ロールピアノの時代(4):1905年に記録された4人のピアニストによるショパン・ノクターン作品15,2  (楽譜
         サン=サーンス(Camille Saens-Saëns, 1835-1921)の演奏(mp3)
         シャルヴェンカ(Xaver Scharwenka, 1850-1924)の演奏(mp3)
         プーニョ(Raoul Pugno, 1852-1914)の演奏(mp3)
         ブゾーニ(Ferruccio Busoni, 1866-1924)の演奏(mp3)
         Welte-Mignonの当時のパンフレットで並べられたこの4つ記録の冒頭部
         4つの録音の時間構造を分析したグラフ(Gottschewski著Die Interpretation als Kunstwerk, Laaber 1996より)
           ・ 授業で扱うグラフ(予定)
             Hauptgraphik1-Hauptgraphik4、21-22番
           比較のために聴くシリンダーと円盤レコード
           この曲の最初(?)の録音:Joseph Pizzarello(シリンダー録音、1898?、曲の一部省略)
           Raoul Pugnoの円盤レコード(1903年)
           Ferruccio Busoniの円盤レコード(1922年)
           Xaver Scharwenkaの円盤レコード様々(このノクターンが含まれていないが)

    11月25日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(5):続けて1905年に記録された4人のピアニストによるショパン・ノクターン作品15,2を扱う(前回のリンクを参照)
           ・ 四人のピアニストが楽譜をどこまで尊重するか
             (楽譜がいろいろとありますが、フランスのオリジナルエディッション(初版?)をベースにした。)
             サン=サーンスの場合
             シャルヴェンカの場合
             プーニョの場合
             ブゾーニの場合
             比較のためにKrystian Zimermanの録音
             ツィメルマンの場合

           ・ 授業で扱ったグラフ(11月18日にリンクしたサイトから
             8番、27番

    12月2日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(6):続けて1905年に記録された4人のピアニストによるショパン・ノクターン作品15,2を扱う(前々回のリンクを参照)
           ・ 授業で扱うグラフ(予定、10月23日にリンクしたサイトから
             Hauptgraphik1-Hauptgraphik4、31番、29番、24番
             26番、9-10番、10-11番、15-16番、17-20番、32-36番

    12月4日

  • 演奏者による装飾音の問題:モーツァルトのピアノ協奏曲第26番 KV 537(「戴冠式」)の第二楽章を事例に(問題提起)
           授業資料 PDF (Microsoft Word)
           ・ 楽譜と文字文献
             モーツァルトの自筆譜
             (旧)モーツァルト全集による楽譜(1879年?)
             新モーツァルト全集による楽譜(1960年出版)
               新モーツァルト全集の長大な序文はこの協奏曲の演奏史に多大な影響を与えたと考えられる。新モーツァルト全集オンラインから
               序文と編集報告にもアクセスできる。Serie V, vol. 78のVorspann, p. XIX 以下と Kritischer Bericht を参照。(ドイツ語のみ)
             Johann Nepomuk Hummel (1778–1837) によるアレンジメント(ピアノソロ、1836年以前)
             Carl Reinecke (1824–1910) によるアレンジメント(一部装飾付き、1870年代?)
             Carl Reinecke (1824–1910) 著『モーツァルトのピアノ協奏曲の復活について』(1990または1891, ドイツ語, KV 537 の第二楽章については37–44頁)

           ・ 録音資料(三文字の記号は録音比較表で使われているもの。比較表を開くにはユーザー名とパスワードが必要。授業で案内する。)
             Hum: Johann Nepomuk Hummelのアレンジメントによる演奏。ピアノは白神典子(Fumiko Shiraga, 2006年録音)。詳細はnaxosmusiclibraryを参照。
             Rei: Carl Reineckeの演奏(Welte-Mignonピアノロール、1905年録音)。youtubeを参照。
             Lan: Wanda Landowskaの演奏(1937年録音)。詳細はyoutubeを参照。
             Bac: Wilhelm Backhausの演奏(1941年録音)。詳細はyoutubeを参照。
             Cas: Robert Casadesusの演奏(1963年録音)。詳細はyoutubeを参照。
             GuS: Friedrich Gulda, スタジオ録音、1956年。詳細はnaxosmusiclibraryを参照。
             GuL: Friedrich Gulda, ライブ録音(ビデオ)、1986年。詳細はyoutubeを参照。
             Bre: Alfred Brendelの演奏, スタジオ録音、1983年。詳細はyoutubeまたはnaxosmusiclibraryを参照。
             Bil: Malcolm Bilson (古楽器), スタジオ録音、1986年録音。詳細はnaxosmusiclibraryを参照。
             Sch: András Schiff, 1994年録音。詳細はyoutubeまたはnaxosmusiclibraryを参照。
             LeL: Robert Levin (古楽器), ライブ録音(ビデオ)、1997年録音。詳細はyoutubeを参照。
             LeS: Robert Levin (古楽器), スタジオ録音、1997年録音。詳細はnaxosmusiclibraryまたはyoutubeを参照。
             Bad: Paul Badura-Skoda, スタジオ録音、2001年録音。詳細はyoutubeを参照。
             Sof: Viviana Sofronitzki (古楽器), 録音は 2004〜2006年?詳細はyoutubeを参照。

    12月9日

  • 12月4日の続きで授業をする(モーツァルト演奏の装飾方における歴史的変化)


  • 12月16日

  • 12月4・11日の続きで授業をする(上記のピアニストたちの装飾方の具体的な分析)


  • 1月6日 夏学期のレポートの口述発表(3分程度)。この日に出席できない方は事前に相談すること。

    冬学期のレポートを1月27日に提出してください。分量は文字テキストのみでA4(フォントは12ポイント)印刷で3〜4枚程度(楽譜例、音源、映像資料等を必要に応じて添付してください)。

    1月20日

  • Hans Zenderの「作曲された演奏解釈」(シューベルトの「冬の旅」、1993年)に反映される西洋音楽演奏解釈史

  •        ・ 比較・関連資料1 Zenderの作品の他の録音
             Zender自身の指揮による演奏(推薦の録音、歌:Blochwitz、この編成で初演:1993年、録音:1994年、youtube)
             別の演奏1(歌:Prégardien、指揮:Reimer、録音:2016年) naxos music library または youtube
             別の演奏2(歌:Prégardien、指揮:Cambreling、録音:1999年) naxos music library

           ・ 比較・関連資料2 Schubertの原作関連のリンク
             楽譜 新シューベルト全集(1979年出版)
             録音1 歌:Prégardien、ピアノ:Gees、録音:2012年(naxos music library)
             録音2 歌:Prégardien、ピアノ(古楽器):Staier、録音:1996年(youtube)
             淡野太郎による歌詞の対訳と解説
             W. Müllerの詩集「冬の旅」とF. Schubertの歌集「冬の旅」の関係(ゴチェフスキ作成)
             F. Schubertの歌集「冬の旅」の調関係(ゴチェフスキ作成)
             F. Schubertの歌集「冬の旅」の解説(ゴチェフスキ作成)

    1月27日

    レポート提出。この日に出席できない方は事前に相談すること。



    リンク