東京大学 2015年度秋学期 火曜日2限目
   教員名:Hermann Gottschewski
   連絡先:gottschewskiアットfusehime.c.u-tokyo.ac.jp
   科目名:比較文化論
   テーマ:「音楽史」とは

授業の目的
音楽史を書く人は、史実の発掘と従来の歴史認識の確認から音楽史の記述まで、どういう問題意識を持ち、どのような研究をしているのだろうか。この授業はただひとつの音楽史を語るのではなく、さまざまな音楽史の可能性を考えることを目標としている。「音楽は文化の現象であり、歴史の中で解釈しなければならない」というのがこの授業での基本的な主張である。音楽史はただ音楽作品を時間的な順番に並べたものではない。それぞれの時代で音楽の社会的な位置、そして音楽を作ったり、楽しんだり、教えたり習ったりする人々の様子は変化する。音楽史では曲そのものよりも、その曲がどのように演奏され、どのように利用され、どのように解釈されたかの方が問題となることもしばしばある。この授業は昨年の冬学期に出していた総合科目『比較文化論』(主題「西洋音楽の文化史―ドイツの音楽を中心に」)を少し観点を変えて再構成したものになる。「西洋」と「ドイツの音楽を中心に」という言葉をタイトルから外し、代わりに音楽史記述に関わる方法論的な問題をより強調しようと思っている。具体的な内容に関しては去年に比べて特に東洋・日本に関する内容を増やし、一つの地域や文化圏に限られた音楽史の問題点と意義や、文化交流という視点をどのように音楽史に繰り込むかという歴史記述的な課題を、多種多様な実例を取り上げながら扱いたいと考えている。

授業の概要
それぞれの授業ではひとつの「観点」を中心にし、多様な音楽史の種類を紹介する。できる限り授業の中で代表的な作品を紹介し、それを鑑賞する時間を設け、歌曲を扱うところでは皆で歌う場合もある。それぞれの授業の「観点」は焦点が徐々に古い時代から新しい時代へ進むように並べられているが、多くの観点が長い歴史への広い視野を広げるので、究極的には毎回音楽史全体を扱うということもできる。この案内を書いている段階ではまだ全ての内容が決まっていないが、去年の内容をそのまま扱う部分もあると思うので、ご興味のある方はネットに上がっている教材を参考にして下さい。(シラバスで紹介されている「授業のホームページ」で「2014年度担当講義」—「冬学期」­—「学部前期」—「水5」をご覧ください。)また授業で直接使わないが、教師の音楽的に関する基本的な態度は参考書として挙げた著書『仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡』の第3章、第11章などから読み取れると思う。

勉強する方法
各授業で次回の授業の資料を出すのでそれを予習してから授業を受けて下さい。万一授業を欠席した場合にはできる限り資料を友人などから手に入れて下さい。それが不可能な場合は授業のホームページから資料を自分でダウンロードして印刷して下さい。ただし著作権の都合でネットに出せない資料もあります。

最新データが表示されない場合は一度リロード(再読み込み)してみて下さい



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