東京大学 2019年度 A-セメスター 水曜日5限目
   教員名:Hermann Gottschewski
   連絡先:gottschewskiアットfusehime.c.u-tokyo.ac.jp
   科目名:音楽論
   テーマ:西洋音楽の演奏解釈史2-録音時代

この授業はS-セメスターの比較文化論の継続として行われているが、新しく加わる学生も歓迎。

授業の概観

各週の講義の内容と資料(順次にアップする)


09月25日

  • ガイダンス・問題提起

  •      授業資料(PDF)   同(docx)

    10月02日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(1)

  •      授業資料(PDF)   同(docx)

    10月09日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(2):大ピアニストたちの歴史的な演奏記録の資料的価値と信憑性

  •      Carl Reinecke (1824-1910)のシューマン演奏(1905年1月記録、youtube)楽譜
               同上、別の再生
         比較のため Ignaz Paderewski (1860-1941, 1914のレコード)
               Svjatoslav Richter (1915-1997, 1956 Studio)
               Arthur Rubinstein (1887-1982, 1961 Live)
               Martha Argerich (*1941, 1978/79 Live)
               Seong-Jin Cho (*1994, 2018 Live)
               Wilhelm Backhaus(1884-1969, 1969 Live, 最後の演奏会の最後のアンコールとして)

    10月16日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(3):明らかに「手入れ」が見られるロール

  •      1 ペダルの再生に様々な問題があったので、ペダリングが常に編集されたと考えられる(明らかな実例を前回の授業で紹介した)
         2 同様の理由により、バス音が確実にペダルに残るためにその鍵が指で保てるより長く保たれている場合はある
         3 音を出さずに押された鍵、ソステヌートペダルの効果を出す措置
           ・ Josef Hofmann演奏のWagner-Brassin(「ワルキューレ」よりFeuerzauber)の場合  (楽譜
             ワーグナーの原曲
             Josef HofmannがWelte-Mignonで記録した演奏(1905年9月)
             比較のため:同演奏者同曲の円盤録音(1923年)(ただしこの録音ではソステヌートペダルなどを使っていない)
         4 鍵盤の上半分内、または下半分内に、同時に弾かれた音の強弱の差を出すダメの「非同期化」
         5 音の追加(古典曲の演奏では稀だが、いくつかのケースが存在する)
         

    10月23日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(4):1905年に記録された4人のピアニストによるショパン・ノクターン作品15,2(楽譜

  •      サン=サーンス(Camille Saens-Saëns, 1835-1921)の演奏(mp3)
         シャルヴェンカ(Xaver Scharwenka, 1850-1924)の演奏(mp3)
         プーニョ(Raoul Pugno, 1852-1914)の演奏(mp3)
         ブゾーニ(Ferruccio Busoni, 1866-1924)の演奏(mp3)
         Welte-Mignonの当時のパンフレットで並べられたこの4つ記録の冒頭部
         4つの録音の時間構造を分析したグラフ(Gottschewski著Die Interpretation als Kunstwerk, Laaber 1996より)
           比較のために聴くシリンダーと円盤レコード
           この曲の最初(?)の録音:Joseph Pizzarello(シリンダー録音、1898?、曲の一部省略)
           Raoul Pugnoの円盤レコード(1903年)
           Ferruccio Busoniの円盤レコード(1822年)
           Xaver Scharwenkaの円盤レコード様々(このノクターンが含まれていないが)

    10月30日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(5):続けて1905年に記録された4人のピアニストによるショパン・ノクターン作品15,2を扱う(前回のリンクを参照)
           ・ 四人のピアニストが楽譜をどこまで尊重するか
             (楽譜がいろいろとありますが、フランスのオリジナルエディッション(初版?)をベースにした。)
             サン=サーンスの場合
             シャルヴェンカの場合
             プーニョの場合
             ブゾーニの場合
             比較のためにKrystian Zimermanの録音
             ツィメルマンの場合

           ・ 授業で扱うグラフ(10月23日にリンクしたサイトから
             Hauptgraphik1-Hauptgraphik4、21-22番、8番、26番、27番

    11月06日

  • ピアノロール/ロールピアノの時代(6):続けて1905年に記録された4人のピアニストによるショパン・ノクターン作品15,2を扱う(前々回のリンクを参照)
           ・ 授業で扱うグラフ(10月23日にリンクしたサイトから
             Hauptgraphik1-Hauptgraphik4、31番、29番、24番
             9-10番、10-11番、15-16番、17-20番、32-36番

    11月20日

  • 演奏者による装飾音の問題:モーツァルトのピアノ協奏曲第26番 KV 537(「戴冠式」)の第二楽章を事例に(問題提起)
           ・ 楽譜と文字文献
             モーツァルトの自筆譜
             (旧)モーツァルト全集による楽譜(1879年?)
             新モーツァルト全集による楽譜(1960年出版)
               新モーツァルト全集の長大な序文はこの協奏曲の演奏史に多大な影響を与えたと考えられる。新モーツァルト全集オンラインから
               序文と編集報告にもアクセスできる。Serie V, vol. 78のVorspann, p. XIX 以下と Kritischer Bericht を参照。(ドイツ語のみ)
             Johann Nepomuk Hummel (1778–1837) によるアレンジメント(ピアノソロ、1836年以前)
             Carl Reinecke (1824–1910) によるアレンジメント(一部装飾付き、1870年代?)
             Carl Reinecke (1824–1910) 著『モーツァルトのピアノ協奏曲の復活について』(1990または1891, ドイツ語, KV 537 の第二楽章については37–44頁)

           ・ 録音資料(三文字の記号は録音比較表で使われているもの。比較表を開くにはユーザー名とパスワードが必要。授業で案内する。)
             Hum: Johann Nepomuk Hummelのアレンジメントによる演奏。ピアノは白神典子(Fumiko Shiraga, 2006年録音)。詳細はnaxosmusiclibraryを参照。
             Rei: Carl Reineckeの演奏(Welte-Mignonピアノロール、1905年録音)。youtubeを参照。
             Lan: Wanda Landowskaの演奏(1937年録音)。詳細はyoutubeを参照。
             Bac: Wilhelm Backhausの演奏(1941年録音)。詳細はyoutubeを参照。
             Cas: Robert Casadesusの演奏(1963年録音)。詳細はyoutubeを参照。
             GuS: Friedrich Gulda, スタジオ録音、1956年。詳細はnaxosmusiclibraryを参照。
             GuL: Friedrich Gulda, ライブ録音(ビデオ)、1986年。詳細はyoutubeを参照。
             Bre: Alfred Brendelの演奏, スタジオ録音、1983年。詳細はyoutubeまたはnaxosmusiclibraryを参照。
             Bil: Malcolm Bilson (古楽器), スタジオ録音、1986年録音。詳細はnaxosmusiclibraryを参照。
             Sch: András Schiff, 1994年録音。詳細はyoutubeまたはnaxosmusiclibraryを参照。
             LeL: Robert Levin (古楽器), ライブ録音(ビデオ)、1997年録音。詳細はyoutubeを参照。
             LeS: Robert Levin (古楽器), スタジオ録音、1997年録音。詳細はnaxosmusiclibraryまたはyoutubeを参照。
             Bad: Paul Badura-Skoda, スタジオ録音、2001年録音。詳細はyoutubeを参照。
             Sof: Viviana Sofronitzki (古楽器), 録音は 2004〜2006年?詳細はyoutubeを参照。

    11月27日

  • 11月20日の続きで授業をする(モーツァルト演奏の装飾方における歴史的変化)

  •      授業資料(PDF)   同(docx)

    12月04日

  • 11月20・27日の続きで授業をする(上記のピアニストたちの装飾方の具体的な分析)


  • 12月11日

  • Hans Zenderの「作曲された演奏解釈」(シューベルトの「冬の旅」、1993年)に反映される西洋音楽演奏解釈史

  •        ・ 比較・関連資料1 Zenderの作品の他の録音
             Zender自身の指揮による演奏(推薦の録音、歌:Blochwitz、この編成で初演:1993年、録音:1994年、youtube)
             別の演奏1(歌:Prégardien、指揮:Reimer、録音:2016年) naxos music library または youtube
             別の演奏2(歌:Prégardien、指揮:Cambreling、録音:1999年) naxos music library

           ・ 比較・関連資料2 Schubertの原作関連のリンク
             楽譜1 新シューベルト全集(1979年出版)
             楽譜2 シューベルトの自筆譜
             録音1 歌:Prégardien、ピアノ:Gees、録音:2012年(naxos music library)
             録音2 歌:Prégardien、ピアノ(古楽器):Staier、録音:1996年(youtube)
             淡野太郎による歌詞の対訳と解説
             W. Müllerの詩集「冬の旅」とF. Schubertの歌集「冬の旅」の関係(ゴチェフスキ作成)
             F. Schubertの歌集「冬の旅」の調関係(ゴチェフスキ作成)
             F. Schubertの歌集「冬の旅」の解説(ゴチェフスキ作成)

    12月18日


    01月08日


    (時間未定)期末試験


    リンク