東京大学 2019年度S-セメスター 月曜日6限目 ・ A-セメスター 月曜日5限目(予定)
   教員名:Hermann Gottschewski
   連絡先:gottschewskiアットfusehime.c.u-tokyo.ac.jp
   科目名:ジャンル交渉論II
   テーマ:音楽史の「19世紀」

授業の目的

西洋音楽史において、フランス革命から第一次世界大戦までの期間を「長い19世紀」と呼ぶ場合がある。クラシック音楽界で「ロマン派」と呼ばれる時代も主にこの長い19世紀と一致するが、その呼び名は音楽学者によって批判され、学問の世界では(時代の名称として)避けられることも多い。この授業ではまずこの時代の西洋音楽史を概観し、それをどういう意味で音楽史の区分として捉えることができるか、音楽史全体を扱った代表的な音楽学者(ダールハウス、タラスキン等)の説を参考にしながら論じるところから入りたいと思う。さらに「19世紀」は日本や他の非西洋文化圏においても音楽史の区分になるかどうか論じる。

さらに20世紀以後の音楽史においては「19世紀」あるいは「ロマン派」が、同時代の音楽と区別するための(あるいは場合によって「古楽」と区別するための)対照としてどのような役割を果たしてきたか論じたい。

この授業で扱う音楽史は作曲家と作品が対象とする狭義の西洋音楽史だけではなく、演奏、家庭音楽、音楽教育、音楽業界などを含む広義の音楽史である。

このテーマを通年に扱うが、夏・冬のみの履修も可能である。