東京大学 2018年度S-セメスター
教員名:Hermann Gottschewski
連絡先:gottschewskiアットfusehime.c.u-tokyo.ac.jp
2018年度S-セメスター 比較文化論I(講義題目:音楽論における「音階」(Tonsystem))
水曜2限
授業の概要
「音階」、あるいはそれより少し広い意味を持つドイツ語の用語を使えばTonsystem(「音の組織」)と言うのは、音楽の材料の一つである「音高」の羅列、あるいはその相互関係を意味する基本概念である。音楽論では音階の自然科学(数学・物理・生理学・心理学)的な基礎、思想や哲学に基づいている意味づけと音楽(歌、器楽曲、即興など)での応用を扱う。また音楽史研究においてはその歴史的な変化、民族音楽学ではその地域的な特徴が論じられている。さらに音階そのもののみならず、音階論もまた歴史・地域研究の対象となりうる。つまりある時代・地域の音階論はどのような音楽を念頭において書かれているかによって特徴づけられているだけではない。音階論を形成するそれぞれ著者の問題意識そのものが異なるからである。例えば鍵盤楽器の発明者や製造者またはその調律師に必要とされる音階論は必ずしも作曲家または楽曲の解釈を探る演奏者や聴衆に求められる音階論と同一のものではない。また音階を歴史的、民族的、哲学的な興味から論じる理論家はそれぞれ別の面に注目する。
この授業では様々な種類の音階と音階論を紹介するのみならず、それを学術研究で扱う場合の問題意識についても考察する。参加者はそれぞれのテーマ設定から自分の関心のあるものを選び、学期末にレポートを作成する。
講義資料