2009年度 ジャンル交渉論II
講義題目:録音された音楽の分析
木曜4限・音楽室(101号館1階)
音楽分析には長い伝統があるが、その伝統的な分析のほとんどが楽譜の分析である。楽譜が存在しない音楽を扱うこともあるが、その場合にはまず採譜して、その後採譜したものを分析するので、分析は結局楽譜を対象としている。ただしその場合には分析の結果が採譜の方法にも左右されるのである。
しかし音楽には正確に採譜が出来ない様子もあり(例:テンポ変化、イントネーション、音色など)、それらが演奏の良さなどに決定的に働く場合も多い。従って演奏の良さを説明するために採譜以外の方法でデータをとって、それを適切な方法で分析する必要がある。音楽の録音が可能になって以来、その分析も技術とともに発展して来たが、音楽がパソコンで処理できる様になった最近二、三十年間にはその可能性と方法も急激に増えた。この授業では音楽の時間論を中心に音楽分析の根本的な問題から音楽研究の最前線をなす新しいメソドまで辿っていきたいと思う。
それと別に、比較文学比較文化コースで音楽を専門とする学生たちに各自の研究テーマで発表する場を与えたいと思う。
参考文献:
- Hermann Gottschewski, Die Interpretation als Kunstwerk (Laaber, 1996)
- 渡辺裕『演奏史論序説』(春秋社、2001年)
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