2006年度 比較文学比較文化演習III
講義題目:諸言語の韻律——西洋古典語を中心に
西洋の韻律論が出来たのはギリシア時代とローマ時代だが、現代西洋言語の韻律が根本的に違う原理に基づいているにも関わらず、古代の韻律論は長年現代語の韻律論を説明するためにも使われ、多くの誤解が生じた。今でも言語を超えて韻律を論じる時に、これらのあいまいな概念は混乱を起こす時が少なくない。
この授業ではまず西洋古典語の韻律(古代ギリシア語とラテン語の違いに注意しながらラテン語を中心に分析して行きたい)を実際に唱えながら体験し、もっとも基礎的な種類や区別を身につける。その後は古代の韻律論の文献に触れ、最後には近代の韻律論と現代の西洋言語と日本語の韻律との比較をしたい。また、韻律のジャンルの発生とその区別の意義について議論したい。
参考文献:
- 逸見喜一郎著『ギリシャ・ローマ文学:韻文の系譜』日本放送出版協会、2000年(特に385-355頁)
- Dürr, Walther: Sprache und Musik: Geschichte, Gattungen, Analysemodelle, Kassel: Bärenreiter-Verlag, 1994
- 川本皓嗣著『日本詩歌の伝統 : 七と五の詩学』岩波書店、1991年
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