この授業の一番重要な資料は教科書(2冊)ですが、それに加えて、羅和の単語帳、練習問題の解答表、聴覚資料などが授業のホームページに置いてあります。紙媒体の資料は配布いたしませんので、各自で授業の前にダウンロードして下さい(最初に一括ダウンロードしても問題ありませんが、途中で資料の訂正、追加などがあると思いますので、資料が必要になった時にその都度ダウンロードするのがお勧めです)。著作権の問題がありますので、パスワードを他の人に流すこと、ダウンロードしたファイルを他の人に提供したり、ネットに公開したりすることは固く禁じます。
教科書には生協による供給に過去何度か問題がありました。今年度もその可能性があると聞いています。手に入らない場合はアマゾンまたは外国の出版社などを通して手に入れてください。古い版でも構いません。手に入るまで時間がかかる場合にはホームページで提供している教材を使って下さい。(パスワードが掛かっています。)問題がある場合はゴチェフスキまでお知らせください。
シラバスで参考図書として載っている『ラテン語の世界』はいろいろと参考になると思って挙げたのですが、授業で直接使うことはないので、経済的に許す範囲で購入してください。
なお教科書の著者が作成したCD-ROMもあります。CD-ROMには教科書全体が著者によって読み上げられたものが入っており、パソコンで練習問題を解くことも可能になっています。10号館1階の視聴覚資料室の窓口で借りて学内で使うことが可能です。自分でそのCDを購入したい方はネットの本屋等で各自で注文して下さい。
2020年度からこの授業は部分的にオンデマンド方式で行われます。その都度にITC-LMSにアップしますのでご覧ください。下記の勉強の順序はそれにより変わるわけではありません。つまり各章が授業のスケジュールに書かれている授業日以前に教科書とこのホームページの補助教材で勉強し、オンデマンドの教材をその後(授業時間内でも、授業の後でも)使う、という順序になります。オンデマンドの教材は従来私が教室で説明していた講義の代わりになります。教師とのコミュニケーションはオンライン授業では主に質疑応答と練習問題の答え合わせのためで、それを原則的に一対一または小さなグループで行います。学生は基本的に授業時間中にオンラインで待機してください。それが難しい場合は私に(できれば事前に)メールで連絡をしてください。 ○スケジュール(2020年度・A-Semester)
09月29日 ガイダンス
10月06日 1章
10月13日 2〜3章
10月20日 4章
10月27日 5〜6章
11月10日 7〜8章
11月17日 9章
11月24日 10〜11章
12月01日 12章
12月08日 13〜14章・試験案内
12月15日 15章
12月22日 16〜17章
01月05日 試験
○勉強方法
次の授業のテーマになっている章を次の様に準備して下さい。
古代(紀元前1世紀を中心に)のラテン語には次の23文字がありました:
ABCDEFGHIKLMNOPQRSTVXYZその中で母音は
AEOY(Yはギリシア語からの外来語のみに使われます)子音は
BCDFGHKLMNPQRSTZ(その中のKは極めてまれに、Zはギリシア語からの外来語のみに使われます。Hを子音に含まない場合もあります。XはCSの書き換えで、二重子音。)IとVは場合によって子音にも母音にもなります。現在(私たちの教科書を含めて)ラテン語を書く時にVを“u”と“v”の様に、母音の場合と子音の場合を書き分けることが多いですが、これは近代の習慣です。一部の著作ではIも“i”と“j”の様に書き分けられていますが、それはあまり一般的ではありません。
古代には大文字しかなく、言葉と言葉の間にスペースを入れる習慣もありませんでした。中世には主に小文字が使われました。そのころにスペースの置き方も決まりました。大文字と小文字の使い分け、コンマやピリオドの打ち方などは時代によって、または地方によって異なり、現在も統一されていません。
古代ラテン語の発音については、時代差や、細かいところに関して不明なところもありますが、大体以下の通りです。
AEIOUの母音はイタリア語の母音に近いもので、日本語のアエイオウのように発音しても問題ないでしょう。ただし音節の単位をよく聞かせるためにIとUを日本語のイとウより丁寧に発音する必要があります。つまり「です」(desu)のu、「して」(shite)のiは日本語の発音ではよく省略されますが、このような省略はラテン語では決して許されません。例えばarcusとarxはカカカナにすれば両方とも「アルクス」になりますが、ラテン語ではuがあるかないか(従って二音節語か一音節語か)で違いがあって、その違いを発音でも十分聞かせなければなりません。
母音に長母音と短母音があるのは日本語に似ています。教科書には長母音の上に棒が付いています(āēīōū.フォントの都合でâêîôûまたはáéíóúを使う資料もあります)。一般のラテン語文献では母音の長短を書き分けませんが、特に韻文では母音の長短が韻律をなしているので、発音でそれを丁寧に使い分ける習慣を身に付けた方が良いです。
二重母音としては AE OE AU EU UI EI があります。そのうち最初の三つはよく見られますが、後の三つは特定の事例に限って使われます。二重母音の発音は二つの母音をつなげたものと同じですが、韻律上では一つの長母音と同じ扱いになります。(例:haeはハエという発音で一つの音節ですが、eaはエアという発音で二つの音節です。ただし、普通二重母音になる組み合わせでも、二重母音にならないで別々の音節として扱われる単語があります。)
子音の発音はドイツ語のそれに近いです。ただし以下の発音に注意してください。
音節には長音節と短音節があります。長音節は短音節の二倍の長さになっています。長音節は原則として(1)長母音または二重母音を含む音節(2)子音で終わる音節です。それ意外の音節は短音節です。言い換えれば短母音で終わる音節は短音節、それ以外の音節は長音節です。これは非常に簡単で分かりやすいルールですが、それを扱うのには音節の切れ目について正しく判断しなければなりません。「母音の前の子音は次の音節に属する、他の子音は前の音節に属する」という原則がありますが、それには様々な厄介な例外があります。それについてはこの教科書の第34章が詳しいです。
アクセントの種類(強勢アクセント、または高低アクセント)については様々な意見がありますが、多くの学者は「強勢アクセントだった」と信じています。アクセントの位置については稀な例外を除いて簡単なルールがあります:
古代後期からラテン語の発音は地域ごとに様々な風に変わりましたが、特に、